メタルのその先へ:BABYMETAL『METAL FORTH』徹底分析

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第1章 新たな道を開拓する:『METAL FORTH』の戦略的創生

1.1 5枚目のアルバムにして「4枚目」:物語の再設定

2025年8月8日に全世界同時リリースされた『METAL FORTH』は、日本のメタルダンスユニットBABYMETALにとって5枚目のスタジオアルバムである 。

しかし、本作は公式に彼女たちの正典における「4枚目」のアルバムとして位置づけられている。

このタイトルは、「メタルを超えて進む」という意味と、その数的な位置づけをかけた言葉遊びとなっている 。

この意図的なブランディングは、2023年にリリースされたアルバム『THE OTHER ONE』を物語の本筋から切り離す役割を果たしている。

『THE OTHER ONE』は「コンセプトアルバム」あるいは「パラレルワールド」の物語として位置づけられており、『METAL FORTH』はバンドの主要な軌道への回帰を示すものとされている 。

この物語の再設定は、単なる芸術的な選択にとどまらない、計算されたマーケティング戦略である。

一部の批評やファンの間では、『THE OTHER ONE』はより実験的で内省的な作品と見なされており、その評価は分かれる傾向にあった 。

これに対し、『METAL FORTH』は、世界的な成功をもたらした初期3作のエネルギッシュで外向的なサウンドへの回帰を明確に示唆している。

多数の著名な国際的アーティストとのコラボレーションを前面に押し出した本作は、より広範なオーディエンスにとってアクセスしやすく、爆発的な魅力を放つ作品として設計されている。

したがって、「4th(フォース)」という言葉をタイトルに冠することで、バンドとその新しいレーベルは、ブランドを世界的な名声へと押し上げた原点への「回帰」を宣言しているのである。

この巧みな物語の再構築は、市場に対して、本作がBABYMETALの最も商業的に強力なアイデンティティの正統な後継者であることを印象づけるための、効果的なフックとなっている。

1.2 メジャーレーベルデビュー:Capitol Recordsとのパートナーシップ

本作は、ユニバーサルミュージックグループ傘下の大手グローバルレーベルであるCapitol Recordsとの契約後、初のリリース作品という点で、ビジネス上の大きな転換点となっている 。

2025年初頭に発表されたこの契約は、バンドの国際的なリーチを拡大するための協調的な取り組みの始まりを告げるものであった。

CapitolのCEOであるトム・マーチは、「BABYMETALの画期的なサウンドと魅力的な芸術的ビジョンは、世界的な支持層を築き上げた。

我々Capitol Recordsは、彼らと共にこの次の章に進み、『Metal Forth』で彼らの国際的な影響力を増幅させ続けることを光栄に思う」と述べている 。

このパートナーシップは、後述するグローバルなコラボレーション戦略や広範なフィジカルメディア展開を実現するための強固なインフラを提供し、アルバムの成功に不可欠な役割を果たした。

1.3 伝説を祝い、未来を定義する

アルバムのリリースは、バンド結成15周年という記念すべき節目と重なっており、祝福と同時に未来志向の声明としての意味合いも持っている 。

メンバー自身も、このアルバムを、自分たちが尊敬するミュージシャンの背中を追う立場から、「次の世代への道を切り開くべき」段階へと移行する重要な瞬間として捉えている 。

この自己認識は、『METAL FORTH』が単なる音楽作品ではなく、Kawaii Metalというジャンルの先駆者から、メタルシーン全体の未来を担うリーダーへと進化しようとするBABYMETALの野心的な宣言であることを示している。

第2章 再生された三位一体:新時代の布陣固め

2.1 MOMOMETALの正式昇格

『METAL FORTH』における最も重要な人事上の変更は、岡崎百々子(MOMOMETAL)が正式メンバーとして参加した初のスタジオアルバムであるという点だ 。

2018年に水野由結(YUIMETAL)が脱退して以降、バンドはサポートダンサーを起用して活動を続けてきたが、2023年にMOMOMETALが正式に加入したことで、5年間にわたる流動的な体制に終止符が打たれた。

これにより、オリジナルメンバーである中元すず香(SU-METAL)と菊地最愛(MOAMETAL)と共に、再び3人組の布陣が固められた 。

この決定は、バンドの初期からの視覚的・声楽的なシンメトリーを回復させ、BABYMETALの美学とパフォーマンスダイナミクスの核となる要素を復活させた。

このMOMOMETALの正式加入は、単なるメンバーの補充以上の意味を持つ。

これは、ファンベースと新しい企業パートナーであるCapitol Recordsの両方に対して、安定性と長期的な存続可能性を宣言するものであった。

2018年から2023年までの期間は、ラインナップの不確実性がバンドに影を落としていた。

彼らがツアーや音楽リリースを続けていた一方で、恒久的な3人目のメンバーの不在は、プロジェクトの将来に対する漠然とした不安を生んでいた。

MOMOMETALの昇格は、BABYMETALの神話と視覚的ブランディングの根幹をなす「三位一体」のコンセプトを再確立し、安定したマーケティング可能なイメージを提供する。

Capitolのようなメジャーレーベルがグローバルな展開に投資する上で、確固たるコミットメントを持つラインナップは極めて重要である。

それはリスクを軽減し、統一されたフロントを提示する。

したがって、MOMOMETALの加入は、『METAL FORTH』プロジェクト全体を支える基礎的なビジネス判断であり、利害関係者に対して、BABYMETALがキャリアの次の段階に進む準備が整った安定した存在であることを保証するものであった。

2.2 KOBAMETALの導き

アルバムのプロデュースは、バンドの創造主であり長年のプロデューサーであるKOBAMETAL(小林啓)が一貫して担当している 。

彼の継続的な関与は、バンドが多数の外部コラボレーターを取り入れながらも、創造的なビジョンの一貫性を保証している。

彼の役割は「プロデューサー兼スヴェンガーリ(黒幕)」と表現されることもあり 、プロジェクトのコンセプト立案から実行に至るまで、彼がいかに中心的な存在であるかを物語っている。

第3章 グローバル・メタル・アライアンス:コラボレーションの解体

3.1 中核戦略:世界中の仲間たち

『METAL FORTH』の中心的コンセプトは、「世界中で出会った新世代の仲間たち」とのコラボレーションである 。

全10曲中7曲にゲストアーティストが参加しており、これはアルバムのアイデンティティを定義づける最大の特徴となっている 。

アーティストの選定プロセスは多岐にわたる。

PolyphiaやJordan Fish(元Bring Me the Horizon)のように以前にも協業したことのある者、Electric CallboyやSlaughter to Prevailのようにツアーを通じて親交を深めた者、そしてTom Morelloのように特定のサウンドを求めてバンド側からアプローチした者など、その背景は様々である 。

3.2 ジャンルと地理のモザイク

本作のコラボレーターの多様性は前例のないものであり、彼らのジャンルと出身地をマッピングすることで、アルバムのグローバルな野心が浮き彫りになる。

  • アメリカ: Tom Morello(ハードロック/オルタナティブメタル)、Polyphia(プログレッシブロック/マスロック)、Poppy(ニューメタル/ハイパーポップ)
  • カナダ: Spiritbox(メタルコア)
  • ドイツ: Electric Callboy(エレクトロニコア)
  • インド: Bloodywood(フォークメタル/ニューメタル)
  • ロシア: Slaughter to Prevail(デスコア)

この世界的な布陣は、メタルを通じて世界を一つにし、「メタル」の伝統的な境界線を押し広げるというアルバムのテーマを直接的に体現している 。

3.3 創造のプロセスと芸術的融合

バンドメンバーへのインタビューからは、創造のプロセスの内幕が垣間見える。

例えば、Slaughter to Prevailとの楽曲では意図的に「ふざけた」歌詞を書き 、Tom MorelloにはRage Against the Machineのスタイルを再現してもらうためにアプローチし 、Poppyとは「可愛さとメタルの融合」という共通の美学から「完璧な化学反応」が生まれたと語っている 。

アルバムのオープニングトラック「From Me to U」は、Bring Me the Horizonの楽曲「Kingslayer」での協力関係を継続する形で、Jordan Fishが共同作曲・プロデュースを手掛けている 。

このコラボレーション戦略は、Capitol Recordsでのデビューインパクトを最大化するために画策された、市場浸透、創造的再発明、そしてブランド価値証明という複数の目的を達成するための洗練されたツールである。

第一に、ドイツ、インド、ロシアといった国々のアーティストを起用することは、彼らのファンベースや市場への直接的なアクセスを可能にする市場浸透の手段となる 。

第二に、より内省的だった『THE OTHER ONE』の後で、この協業的アプローチは、BABYMETALが新しいサウンドやテクスチャーを迅速に音楽に取り入れることを可能にした。

これは多様化への近道であり、デスコア、エレクトロニコア、フォークメタルといった要素を即座に注入することで、「メタルを超えて進む」という約束を果たす創造的再発明である 。

そして第三に、Tom Morelloのような伝説的アイコンや、Spiritbox、Polyphiaといった現代のシーンで高く評価されているバンドとの共演を実現することで、BABYMETALは欧米のメタル・ロックシーンにおける信頼性を大きく高めた。

これは、彼らが単なる珍しい存在ではなく、トップクラスの才能を引きつけることのできる尊敬される同業者であることを示すブランド価値の証明である。

他のアーティストによるこの「お墨付き」は、しばしば懐疑的な目で見られてきたバンドにとって計り知れない価値を持ち、「ジャンルの方向性に影響を与えることができる確立されたプレイヤー」としての地位を固めるものとなった 。

第4章 反乱の解剖学:楽曲ごとの音響探求

本セクションでは、多数のレビューやバンドのインタビューから得られた情報を統合し、各トラックの詳細な音楽的分析を行う。

トラックNo.タイトルフィーチャリングアーティスト主要な作詞・作曲・プロデューサー長さ
1“From Me to U”PoppyJordan Fish, Mk-metal, Moriah Rose Pereira3:25
2“Ratatata”Electric CallboyKevin Ratajczak, Nico Sallach, Daniel Haniß, etc.3:37
3“Song 3”Slaughter to Prevail333-metal, Aleksandr Igorevish, Jack Simmons, etc.3:34
4“Kon! Kon!”BloodywoodJayant Bhadula, Karan Katiyar, Mk-metal, etc.3:55
5“KxAxWxAxIxI”N/ADaiai, Metal Cypher2:36
6“Sunset Kiss”PolyphiaMegmetal, Mk-metal3:33
7“My Queen”SpiritboxCourtney LaPlante, Drew Fulk, Mike Stringer, etc.3:21
8“Algorism”N/AAlgo-metal, Norimetal3:37
9“Metali!!”Tom MorelloMetal-Niki, Norimetal, Ryu-metal3:28
10“White Flame -白炎-“N/AKitsune of Metal God, Mish-Mosh, Su-metal, T-metal4:25
出典:

4.1 トラック分析

  • “From Me to U” (feat. Poppy): 「サイバネティック・ニューメタルとアンセム的なシンガロング・フック」の融合と評される爆発的なオープニング曲 。作曲的にはSlipknotと比較され、ダブルキックドラムとピッキングハーモニクスが特徴で、即座にヘヴィなトーンを確立する 。両アーティストの美学の共通性から、このコラボレーションは「完璧な化学反応」と見なされている 。
  • “Ratatata” (with Electric Callboy): 「間違いなく盛り上がる曲」であり、「完璧なパーティーアンセム」と評される 。シンセメタルとエレクトロニコアが混沌としながらもエネルギッシュに融合しており、批評家たちは不本意ながらもその中毒性を認めている 。
  • “Song 3” (with Slaughter to Prevail): アルバムの中で最もヘヴィで予想外の展開を見せる、カワイイボーカルとブルータルなデスコアの「音の衝突」 。SU-METALは、Alex Terribleのグロウルとの対比を際立たせるため、意図的に歌詞を「ふざけた」ものにしたと述べている 。一部の批評家は、この組み合わせを不自然だと感じた 。
  • “KxAxWxAxIxI”: 数少ないソロトラックの一つで、ヒップホップやR&Bの影響を受けたサウンドへの驚くべき挑戦として注目されている。ガテラルボーカルがアクセントとなっている 。MOMOMETALは、この曲が「BABYMETALの新しい側面」を見せると強調した 。
  • “Sunset Kiss” (feat. Polyphia): アルバムの中での一息つく瞬間であり、「軽快なシティポップの質感」をバンドのシグネチャーサウンドと融合させている 。アルバムの中で最も「美しく」「夢のような」トラックの一つと評されている 。
  • “My Queen” (feat. Spiritbox): アルバムのリードトラック 。「力強く、感情豊かな」楽曲で、エンパワーメントと強さをテーマにしている。SU-METALの突き抜けるようなボーカルと、Courtney LaPlanteの多彩なボーカルレンジが見事に融合している 。
  • “Metali!!” (feat. Tom Morello): 伝統的な日本のリズムを基盤に、Morelloの「紛れもないリフと叫ぶようなソロ」によって昇華されたトラック 。
  • “White Flame -白炎-“: アルバムの壮大なフィナーレを飾る、「息をのむようなクロージング」であり、「勝利に満ちたパワーメタル」と評される。Dragonforceと比較されることもある 。BABYMETAL単独の楽曲であり、彼女たちのコアサウンドが最も壮大な形で表現されている。

第5章 批評家の称賛と商業的成功

5.1 批評のスペクトラム:マキシマリストの勝利からシニカルなコンピレーションまで

『METAL FORTH』は、8つのレビューに基づきMetacriticで78点を獲得し、「概ね好意的なレビュー」を受けた 。しかし、その評価は大きく二分した。

肯定的な意見としては、「容赦ないマキシマリスト」「ハイオクタンな楽しさ」「大胆不敵でジャンルを融合させた勝利」といった称賛が寄せられた 。

批評家たちはそのエネルギー、キャッチーさ、そして大胆な実験性を高く評価した。

一方で、否定的な、あるいは懐疑的な意見も存在した。

特に、フィーチャリングへの過度な依存が指摘され、まるで「コンピレーション」や「様々なアーティスト」のアルバムにBABYMETALがゲスト参加しているかのように感じられるという批判があった 。

一部の批評家は、このコラボレーション戦略を「名前の価値で金儲けをする」ための「シニカル」な商業的策略と見なした 。

アルバム全体の一貫性の欠如も、共通の批判点であった 。

この批評家たちの間の意見の相違は、ファンの間でも同様に見られた。

多様なコラボレーションを歓迎する声がある一方で、フィーチャリングのない『THE OTHER ONE』と比較して、「真の」BABYMETALのアルバムらしくないという失望の声も上がっていた 。

5.2 記録の更新:チャートパフォーマンスと市場へのインパクト

批評家の間で意見が分かれる一方、『METAL FORTH』は商業的に目覚ましい成功を収めた。

  • アメリカ: アルバムは、米ビルボード200チャートで初登場9位という歴史的な快挙を成し遂げた。これにより、BABYMETALはアメリカでトップ10入りした初の日本のアーティストとなった 。このデビューは、36,000相当のアルバムユニットによって達成されたが、そのうち33,500ユニットが純粋なアルバムセールスによるものであった。ストリーミングによるユニットはわずか2,500(328万ストリーム)に過ぎなかった 。
  • 日本: オリコン週間合算アルバムランキングで初登場3位を記録し、24,374ユニットを売り上げた。また、デジタルアルバムランキングでは首位を獲得した 。
チャート最高位初週売上/ユニット数備考
米国 ビルボード2009位36,000相当ユニット日本のアーティストとして初のトップ10入り
米国 ビルボード トップアルバムセールス(1位または上位と推測)33,500枚強力なフィジカルセールスを証明
日本 オリコン合算アルバム3位24,374相当ユニット国内市場での好成績
日本 オリコンアルバム3位21,723枚
日本 オリコンデジタルアルバム1位2,264ダウンロード
出典:

このアルバムのチャートでの成功は、現代の音楽マーケティング戦略が巧みに作用した結果である。

特に米国でのチャートデータは、純粋なセールスが33,500ユニットであるのに対し、ストリーミング由来のユニットがわずか2,500という極端な偏りを示している 。

2025年のトップ10アルバムとしては異例の構成であり、この背景には、コレクター志向のファンベースに対して、利益率の高いフィジカル商品の販売を優先するという意図的な戦略が存在する。

多数の限定盤、サイン入り、特別仕様のフィジカル版(後述)をリリースすることで 、熱心なファンに複数枚の購入を促した。

この戦略は、受動的なストリーミングリスナーを大量に獲得するよりも、献身的で購買意欲の高いニッチなオーディエンスから高いチャート順位を生み出すことができるという、現代のチャート指標の特性を巧みに利用したものである。

したがって、歴史的なビルボード9位という結果は、広範な人気だけでなく、精密にターゲットを絞った販売キャンペーンの勝利であり、その商業的製品としての設計の見事さを物語っている。

第6章 『METAL FORTH』ユニバース:メディア、マーチャンダイズ、そして世界の舞台

6.1 コレクターズ・キャンペーン:多様なフォーマット

『METAL FORTH』のリリースは、コレクター市場を強く意識した、極めて広範なフィジカルフォーマット展開によって特徴づけられる。

  • アナログ盤: 通常ブラックLP、オルタナティブカバージャケット・レッドヴァイナル、ブラック・レッド・スプラッター盤、ホワイトノイズ・スタティック盤、クリスタルクリア盤、シャッタードグラス・ピクチャーディスク、ブラック&クリア盤、メンバーソロジャケット盤(SU-METAL、MOAMETAL、MOMOMETAL)、Spotify Fans First限定盤など、多岐にわたるバリエーションが用意された 。多くにはサイン入りアートカードが付属し、多数のバリエーションが即座に完売した 。
  • CD: 通常盤CD、デラックス・エディション、メンバーソロジャケット盤、全メンバーカバージャケット盤 。
  • カセットテープ: スモーキーブラック、フォース・エディション、レッド・エディション 。
  • デジタル: 通常版、デラックス・デジタル・アルバム(Episode 1, 2, 3) 。

この徹底したバリエーション展開は、ファンに複数のフォーマットを購入するインセンティブを与え、前述の驚異的な純粋なアルバムセールスに直接貢献した。

6.2 反乱の視覚化:ミュージックビデオ

アルバムのプロモーションにおいて、ミュージックビデオは中心的な役割を果たした。コラボレーション楽曲の多くで公式ビデオが制作・公開されている。

「From Me to U」(feat. Poppy)、「Ratatata」(with Electric Callboy)、「Song 3」(with Slaughter to Prevail)、「Kon! Kon!」(feat. Bloodywood)、そして「My Queen」(feat. Spiritbox)のビデオが確認されている 。

これらのビデオは大きな視聴数を記録しており、特に「RATATATA」はYouTube Musicで6900万回以上の再生を達成している 。

6.3 世界を征服する:METAL FORTHツアー

アルバムのリリースに伴い、大規模な「BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026」が開催されている 。

このツアーは、Black Veil Brides、Jinjer、Bloodywoodがサポートを務める北米ツアー 、アジアツアー 、そして2026年1月にさいたまスーパーアリーナで行われる特別公演「LEGEND – METAL FORTH」 など、世界各地を巡る壮大なものとなっている。

このグローバルなツアースケジュールは、アルバムの国際的な焦点を強化し、コラボレーションが多用された新曲をライブで披露する絶好の機会を提供している。

第7章 結論:グローバル・アライアンスによって築かれるKawaii Metalの未来

『METAL FORTH』は、BABYMETALのディスコグラフィにおいて、計算され尽くした、そして成功を収めた転換点として位置づけられる。

本作は、MOMOMETALの加入によってラインナップを盤石なものにし、メジャーレーベルとのパートナーシップを最大限に活用し、そしてグローバルなコラボレーション戦略を駆使して欧米での前例のない商業的成功を収めた。

アルバムの芸術的な一貫性については議論の余地があるかもしれないが、その戦略的な見事さは疑いようがない。

本作は現代の音楽マーケティングの傑作であり、強力な意志表明である。

BABYMETALは、単一のアイデンティティをある程度犠牲にすることで、世界的なリーチを獲得した。

その結果、彼女たちはニッチなジャンルの先駆者というだけでなく、世界のメインステージで活躍する野心的で適応力のあるプレイヤーとしての地位を確立した。

『METAL FORTH』は、BABYMETALが自らのユニークなメタルブランドを未来へと「前進(forth)」させる準備が整ったことを、力強く証明したのである。