BABYMETAL

SUMMER SONICとBABYMETALの歴史的軌跡:異端の誕生から世界的ヘッドライナーへの進化

はじめに:フェスティバルとアーティストの共犯関係

2026年もSUMMER SONICにBABYMETALの出演が決まりました!

結成15周年を経たBABYMETALが25周年のサマーソニックに登場!
このサマソニ25周年開催を祝うべくBABYMETALがソニックステージをSONIC “METAL” STAGE – Curated by BABYMETALとして東京、大阪1日ずつステージをキュレーション!お互い無くしては語れないサマソニとBABYMETALの道のりがここに結実する!

日本を代表する都市型音楽フェスティバル「SUMMER SONIC(以下、サマソニ)」と、世界的なメタルダンスユニット「BABYMETAL」の関係性は、単なる「フェスティバルと出演アーティスト」という枠組みを超越した、特筆すべき共犯関係にあります。

BABYMETALの歴史を紐解くことは、そのままサマソニにおける彼女たちのステージの変遷、ひいては日本の音楽シーンにおける「Kawaii Metal(カワイイメタル)」というジャンルの浸透過程を辿ることと同義です。

2012年、まだ中学生であった彼女たちがフードコートの小さな特設ステージで放った異端の産声は、年を追うごとに観客を呑み込み、ステージの規模を段階的に拡大させ、最終的には数万人の大観衆を熱狂させるメインステージの覇者へと成長を遂げました。

さらには日本国内にとどまらず、サマソニの海外展開(バンコク公演)においても中核を担う存在となり、世界のヘヴィミュージックシーンを牽引する巨大なハブへと変貌を遂げています。

本レポートでは、BABYMETALがいかにしてサマソニという巨大なプラットフォームを通じて未曾有のジャンルを確立し、世界的なアーティストへと飛躍していったのか、その全歴史とセットリスト(演奏曲目)の緻密な変遷を、年代ごとの詳細なデータと音楽的・社会的背景の洞察とともに詳解いたします。

第1期:異端の誕生と「Kawaii Metal」の証明(2012年〜2014年)

2012年:フードコートでの産声と「Doki Doki Evening」

BABYMETALのサマソニ初出演は、2012年8月19日の東京会場(幕張メッセ)に遡ります。

当時、メインボーカルのSU-METALは14歳、スクリーム&ダンスを担うYUIMETALとMOAMETALはわずか13歳であり、これはサマソニの歴史において最年少での出演記録でした。

しかし、彼女たちに用意されたのは最新鋭の音響設備を備えた音楽用メインステージではなく、主に若手のお笑い芸人などがパフォーマンスを行うフードコートエリア内に設けられた「サイドショーステージ(Side-show stage)」でした。

さらに、彼女たちの出演が公式に発表されたのは、サマソニのチケットが既に完全にソールドアウトした直後のことでした。

そのため、メンバー自身も「自分たちを目当てに来る観客はいないのではないか」「誰も見に来てくれないのではないか」という強い不安を抱えていたと記録されています。

しかし、いざパフォーマンスが始まると、偶然その場に居合わせたロックファンやメタルファンが食事の手を止め、彼女たちの圧倒的なパフォーマンスと奇抜な音楽性に釘付けになりました。

演奏順2012年 サマソニ(サイドショーステージ) 演奏曲目備考
1ド・キ・ド・キ☆モーニング / Iine!ポップネスと重低音の融合を提示
2ヘドバンギャー!!ヘドバンのオマージュを取り入れた最初期の代表曲
3BABYMETAL DEATH (Short ver.)デスメタルへの本格的な傾倒を示す楽曲
4イジメ、ダメ、ゼッタイメロディックスピードメタルの疾走感とメッセージ性

この日のライブは、アイドル文化のポップネスと本格的なヘヴィメタルの重低音を融合させるという極めて実験的なコンセプトが、耳の肥えたロックファンや音楽フリークに通用することを証明した決定的な瞬間でした。

終演後、BABYMETALの公式SNSでは「チケット完売後の発表で"ド・キ・ド・キ☆イブニング"でしたが、ステージに出ると見渡す限りの人で感動しましたDEATH!!」という安堵と興奮に満ちたコメントが発信されました。

この小さな特設ステージで巻き起こった熱狂は、口コミとソーシャルメディアを通じて即座に拡散され、BABYMETALの快進撃を後押しする第一歩となりました。

2013年:幕張メッセ内ステージへの昇格と神バンドの胎動

前年のフードコートでの伝説的なパフォーマンスを経て、2013年のサマソニでは、彼女たちは幕張メッセ内の「Hall 8」という、より本格的な屋内ステージへと明確な昇格を果たしました。

この年のサマソニは、Muse、Mr.Children、Zebrahead、MAN WITH A MISSION、Pet Shop Boysなど、国内外の錚々たるトップアーティストが集結する豪華なラインナップでした。

その中でBABYMETALは、もはや単なる色物や一発屋としての扱いではなく、確立された一つのアクトとして迎えられました。

演奏順2013年 サマソニ(幕張 Hall 8) 演奏曲目収録アルバム / 演出の特筆事項
1BABYMETAL DEATH1stアルバム『BABYMETAL』収録
2メギツネ1stアルバム『BABYMETAL』収録
3Catch me if you can神バンドによる超絶技巧のインストゥルメンタル導入
4ド・キ・ド・キ☆モーニング1stアルバム『BABYMETAL』収録
5Iine!1stアルバム『BABYMETAL』収録
6ヘドバンギャー!!1stアルバム『BABYMETAL』収録
7イジメ、ダメ、ゼッタイ1stアルバム『BABYMETAL』収録

この2013年のステージにおいて最も重要な音楽的変革は、『Catch me if you can』の導入部に「神バンド(Kami Band)」と呼ばれる強力なバックバンドによるインストゥルメンタル・ソロが組み込まれたことです。

白塗りのメイクを施した日本のトップクラスのスタジオミュージシャンたちが生み出す圧倒的な生演奏のグルーヴは、BABYMETALのパフォーマンスに本物のメタルの説得力を付与しました。

カラオケ音源中心のライブから、生バンドを従えた本格的なメタルアクトへの移行が、このフェスの場で明確に示されたのです。

2014年:世界的なブレイクスルーと凱旋公演としてのサマソニ

2014年は、BABYMETALの歴史において「世界への扉」が完全に開かれた記念すべき年です。

この年の前半、彼女たちは日本武道館での単独公演(赤い夜・黒い夜)を成功させ、その後ヨーロッパへ渡り、イギリスの巨大メタルフェス「Sonisphere Festival」の大ステージで数万人のメタルヘッズを熱狂させました。

さらに「Heavy Montreal」への出演や、世界的ポップアイコンであるレディー・ガガの「ArtPop Ball」ツアーのサポートアクトを務めるなど、怒涛の海外展開を行いました。

これら海外での歴史的な成功を収めた直後、彼女たちは凱旋公演という形でサマソニ(東京・大阪両公演)に臨みました

演奏順2014年 サマソニ(幕張メッセ) 演奏曲目備考
1BABYMETAL DEATH荘厳なオープニングとしての定着
2ギミチョコ!!世界的バイラルヒットを記録した絶対的アンセム
3Catch me if you can神バンドのソロパートを含む
4メギツネ和洋折衷のコンセプトを象徴する楽曲
5ヘドバンギャー!!サマソニのために特別に追加された楽曲
6ド・キ・ド・キ☆モーニング初期衝動を保つ原点の楽曲
7イジメ、ダメ、ゼッタイウォール・オブ・デスを巻き起こすクロージング曲

海外フェス(Sonisphereなど)では持ち時間の関係上、全5曲の構成(BMD、ギミチョコ!!、CMIYC、メギツネ、IDZ)でしたが、サマソニではより長い持ち時間が与えられたため、『ヘドバンギャー!!』と『ド・キ・ド・キ☆モーニング』がセットリストの中盤に追加されました。

世界規模のステージで揉まれ、パフォーマンスの強度を飛躍的に高めた彼女たちの姿は、日本の音楽ファンに強烈なインパクトを与え、現在のBABYMETALのフェス仕様の王道パターンがここで完全に確立されました。

第2期:メインステージへの階梯と絶対的アンセムの確立(2015年〜2017年)

2015年:マウンテンステージにおける地盤固め

2015年のサマソニでは、BABYMETALは屋内最大級のキャパシティを誇る「MOUNTAIN STAGE」に抜擢されました。

同年のサマソニには、Imagine Dragons、The Script、Marilyn Manson、All Time Low、D'Angelo And The Vanguardなど、ジャンルを問わない世界最高峰のアーティストが名を連ねていました。

この多種多様なラインナップの中にあって、BABYMETALはもはや「物珍しいサイドアクト」ではなく、フェスの集客の要となる中核アーティストとしての確固たる地位を築いていました。

演奏順2015年 サマソニ(MOUNTAIN STAGE等) 演奏曲目ライブ構成の意図と背景
1BABYMETAL DEATH1曲目から圧倒的な音圧で会場を制圧する儀式
2メギツネ和の要素と祭りの熱気を帯びたキラーチューン
3ド・キ・ド・キ☆モーニング初見の観客にも届くキャッチーなメロディ
4あわだまフィーバー新たな音楽性を示す未音源化曲(当時)の投入
5Catch me if you can神バンドのテクニックを披露し、観客を煽る要衝
6ウキウキ★ミッドナイトダブステップ要素を取り入れたエレクトロニックな展開
7Road of Resistance大合唱と巨大なモッシュピットを生み出す最新の最終兵器
8ギミチョコ!!コール&レスポンスによる一体感の醸成
9イジメ、ダメ、ゼッタイ全力疾走によるカタルシスの解放

この時期のセットリストにおける最大の革新は、DragonForceのギタリストたちとのコラボレーションによって制作されたメロディックスピードメタルの大曲『Road of Resistance』の導入です。

大観衆を真っ二つに割り、巨大なウォール・オブ・デス(Wall of Death)を創り出すこの楽曲は、サマソニという巨大空間を完全に支配するための「最終兵器」として機能しました。

また、映像演出などの大規模な仕掛けに頼ることができないフェスの環境下において、彼女たちが純粋な身体的パフォーマンスと音楽の力のみで観客を熱狂させることができる事実を証明しました。

2016年:ソニックステージでの重厚なるパフォーマンス

2016年4月に2ndアルバム『METAL RESISTANCE』を全世界同時リリースし、日本人アーティストとして約半世紀ぶりに全米ビルボードトップ40入りを果たすという歴史的快挙を成し遂げたBABYMETALは、その年のサマソニでは「SONIC STAGE」のトリ(もしくは準トリ)級の扱いとして登場しました。

同ステージには、Radiohead、サカナクション、The 1975、Bullet For My Valentine、Panic! At The Discoといった錚々たるアクトが出演していました。

演奏順2016年 サマソニ(大阪 SONIC STAGE) 演奏曲目収録アルバム / 楽曲の役割
1BABYMETAL DEATH『BABYMETAL』収録。不穏な空気感での幕開け
2ギミチョコ!!『BABYMETAL』収録。序盤から一気にボルテージを引き上げる
3あわだまフィーバー『METAL RESISTANCE』収録。ミクスチャーロックへの接近
4Catch me if you can『BABYMETAL』収録。神バンドの見せ場
5META! メタ太郎『METAL RESISTANCE』収録。バイキングメタルの要素とシンガロング
6メギツネ『BABYMETAL』収録。会場全体をジャンプさせる祝祭空間
7KARATE『METAL RESISTANCE』収録。空手モチーフの振付と重厚なグルーヴ
8Road of Resistance『METAL RESISTANCE』収録。終盤の大合唱とモッシュ
9イジメ、ダメ、ゼッタイ『BABYMETAL』収録。息もつかせぬクロージング

この年のセットリストは、新作『METAL RESISTANCE』からの楽曲(『あわだまフィーバー』『META! メタ太郎』『KARATE』)が大胆に組み込まれました。

特に『KARATE』の持つDjent(ジェント)的な重厚なグルーヴや、『META! メタ太郎』におけるバイキングメタルの要素は、BABYMETALの音楽的な引き出しが劇的に拡張されていることを示していました。

単なる勢いや目新しさだけでなく、音楽的な重厚さとパフォーマンスの説得力が飛躍的に向上していることが、このデータからも明確に読み取れます。

2017年:悲願の「マリンステージ」降臨と集大成

2017年、BABYMETALはついにサマソニの最高峰であり、最大数万人を収容する野外スタジアム「MARINE STAGE(メインステージ)」の土を踏みました。

この日は、アメリカを代表する巨大ロックバンドであるFoo Fightersがヘッドライナーを務め、日本からはMAN WITH A MISSIONなどが同ステージに出演するという、ロックファンにとって垂涎のラインナップでした。

BABYMETALは、Foo Fightersの直前という、事実上の「セカンド・ビル(準ヘッドライナー)」としての極めて重要なポジションを任されました。

演奏順2017年 サマソニ(MARINE STAGE) 演奏曲目セットリストの意図
1BABYMETAL DEATHスタジアムという巨大空間を神話世界に染め上げるオープナー
2ギミチョコ!!最も知名度の高い楽曲を序盤に配置し、スタジアム全体を掌握
3メギツネ息を呑むパフォーマンスと祭りのリズムで一体感を持続
4Catch me if you can神バンドのソロにより、音楽的な本格派であることをスタジアムの観客に証明
5Road of Resistanceスタジアム規模でのウォール・オブ・デスと、数万人規模の大合唱を創出
6KARATE夕暮れのスタジアムに響き渡る重厚なリフとエモーショナルなボーカル
7ヘドバンギャー!!初期からの代表曲でコアファンを狂喜させる
8イジメ、ダメ、ゼッタイステージを端から端まで駆け抜ける、視覚的にも劇的なフィナーレ

2012年にフードコートの小さなステージで歌い踊っていた少女たちが、わずか5年で数万人規模のスタジアムのメインステージを揺らす存在へと駆け上がったこの事実は、日本の音楽フェス史においても類を見ない劇的なサクセスストーリーです。

この日のセットリストは、これまでのサマソニでの歩みを総括する「ベスト盤」的、あるいは集大成と言える完璧な選曲でした。

『BABYMETAL DEATH』での荘厳な幕開けから、『イジメ、ダメ、ゼッタイ』の全力疾走による終幕まで、一切の隙がない完璧なスタジアム・ショーを構築し、世界のトップバンドたちと肩を並べるライブアクトであることを完全に証明しました。

第3期:体制の変革と音楽性のグローバル化(2019年〜2023年)

2019年:アベンジャーズ体制と多国籍サウンドの導入

2018年にオリジナルメンバーであったYUIMETALの脱退というグループ最大の試練を経験したBABYMETALは、2019年、「アベンジャーズ」と呼ばれるサポートダンサー3名の中から1名が日替わりで参加する新たな体制で活動を再開しました。

この新体制で挑んだ2019年のサマソニ(MOUNTAIN STAGE)は、BABYMETALのセットリスト構成と音楽の方向性において、極めて大きなターニングポイントとなりました。

同ステージには、UKのトップバンドであるBring Me The HorizonやFoalsなども出演し、激しい熱気に包まれました。

演奏順2019年 サマソニ(MOUNTAIN STAGE) 演奏曲目楽曲の進化と背景
1メギツネ『BABYMETAL DEATH』を封印し、和の祝祭感による新たな幕開け
2PA PA YA!! (feat. F.HERO)タイのラッパーを起用した常夏のタオル回しアンセム
3ギミチョコ!!ライブの中核を担う鉄板のナンバー
4インスト曲(神バンドソロ)卓越した演奏技術によるインターリュード
5Elevator girlジャズやコンテンポラリーの要素を取り入れた洗練された楽曲
6Shanti Shanti Shantiインド音楽の音階とリズムを取り入れた異国情緒溢れるサウンド
7ヤバッ!スカ要素を含むアッパーなリズム
8Distortion『METAL GALAXY』を象徴するソリッドなメタルコアサウンド
9KARATEミッドテンポでの重厚なグルーヴ
10ヘドバンギャー!!狂乱の終盤戦への入り口
11Road of Resistance全てのオーディエンスを一つに束ねる大団円

この年のセットリストで最も象徴的だったのは、長らくオープニングの絶対的定番であり、儀式的な意味合いを帯びていた『BABYMETAL DEATH』が封印され、和の祝祭感に溢れる『メギツネ』が1曲目に配置されたことです。

重低音による威圧ではなく、祭り囃子による多幸感で会場全体を踊らせる「祝祭空間」の創出へと演出の舵が切られました。

さらに、タイの国民的ラッパーであるF.HEROをフィーチャーした常夏のアッパーチューン『PA PA YA!!』や、インド音楽の音階を取り入れた『Shanti Shanti Shanti』など、同年秋にリリースされるアルバム『METAL GALAXY』のテーマである「多国籍な音楽の旅(オデッセイ)」を体現する楽曲群が惜しげもなく披露されました。

これは、彼女たちが従来の「日本のカワイイ文化とメタルの融合」という初期の枠組みを自ら破壊し、より広範な世界の民族音楽とヘヴィメタルの融合という新たな次元(第3次形態)へと進化したことを示しています。

2023年:MOMOMETAL正式加入と「新生BABYMETAL」の覚醒

新型コロナウイルスの世界的なパンデミックによるライブ活動の停滞期(公式には「封印」と呼ばれた期間)を経て、BABYMETALは大きな変革を迎えました。

アベンジャーズとして活動を支えてきたMOMOMETALを正式な第三のメンバーとして迎え、「新生BABYMETAL」として復活を遂げたのです。

2023年のサマソニにおいてマウンテンステージのトリを務めたこの年のパフォーマンスは、溜め込まれていたエネルギーが爆発し、新旧のファンを狂乱の渦に巻き込みました。

演奏順2023年 サマソニ(MOUNTAIN STAGE トリ) 演奏曲目収録アルバム / 楽曲の意義
1BABYMETAL DEATH初期オープナーの劇的な復活。3人体制の完全復活の証明
2ギミチョコ!!『BABYMETAL』収録。休符なき熱狂の継続
3PA PA YA!!『METAL GALAXY』収録。フェスにおける絶対的な盛り上がり曲へ定着
4Distortion『METAL GALAXY』収録。鋭角的なリフとスクリーム
5BxMxC『METAL GALAXY』収録。トラップメタルの要素を取り入れた異端の楽曲
6MAYAコンセプトアルバム『THE OTHER ONE』収録。洗練されたメロディ
7Monochrome『THE OTHER ONE』収録。スマホのライトを用いたスタジアム規模の演出
8METALI!! (神バンドソロ導入)Tom Morelloをフィーチャーした最新の夏祭りメタルの投下
9メギツネ『BABYMETAL』収録。和の旋律による狂乱
10ヘドバンギャー!!『BABYMETAL』収録。終盤のラッシュ
11Road of Resistance『METAL RESISTANCE』収録。巨大なウォール・オブ・デスの創出
12イジメ、ダメ、ゼッタイ『BABYMETAL』収録。限界突破の大フィナーレ

この年の最大のトピックは、初期のアイデンティティであり、しばらく演奏されていなかった『BABYMETAL DEATH』がオープニングとして劇的な復活を遂げたことです。

SU-METAL、MOAMETAL、そして新たにMOMOMETALの名前がコールされるこの楽曲の復活は、グループの完全復活を宣言する強烈なメッセージとなりました。

また、復帰作となったコンセプトアルバム『THE OTHER ONE』から、大人の洗練された空気感を持つ『MAYA』や、会場全体がスマートフォンのライトで埋め尽くされる感動的な『Monochrome』が演奏される一方で、Rage Against the MachineのTom Morelloをギターにフィーチャーした最新の祭りアンセム『METALI!!』が投下されました。

静と動、ダークさと多幸感がシームレスに交錯し、ライブ全体の構成力と緩急のつけ方が極めて高度なレベルに到達していることが窺えます。

第4期:国境の消失と「Feature Metal」の爆発(2024年〜2025年)

2024年:サマソニ・バンコクの熱狂と異文化コラボレーションの体現

2024年は、サマソニが初めて日本を飛び出し、海外(タイ・バンコクのIMPACT MUANG THONG THANI)へ進出を果たした歴史的な年であり、BABYMETALにとってもその国際的な影響力と音楽的ハブとしての役割を誇示する極めて重要な機会となりました

まず、8月18日に開催されたサマソニ東京公演においては、タイの国民的ロックバンドであるBODYSLAMのステージにスペシャルゲストとして電撃的に登場しました。

このステージでは、BABYMETALの代表曲である『ギミチョコ!!』を、BODYSLAMのバンドメンバー(トゥーン、ヨッド、ピッド、チャド、オーム)の生演奏で披露するという、前代未聞のクロスオーバーを実現させました。

さらに、タイの重鎮ラッパーであるF.HEROもステージに合流し、トリプル・コラボレーション・シングルである『LEAVE IT ALL BEHIND』、そして『PA PA YA!!』を日本で初披露し、国境やジャンルの壁を完全に無効化する音楽の連帯を提示しました。

続く8月24日・25日の「SUMMER SONIC BANGKOK 2024」においては、自身たちの単独セットリストも披露し、現地のオーディエンスを圧倒しました

演奏順2024年 サマソニ バンコク 演奏曲目楽曲のコラボレーション背景と意義
1BABYMETAL DEATH現地ファンを震撼させる不動のオープニング
2PA PA YA!!タイ本国においてF.HEROのパートが爆発的な盛り上がりを見せる
3METALI!! (神バンドソロ)トム・モレロのスピリットを宿した祭りメタル
4Sunset KissPolyphiaをフィーチャーした超絶技巧のインストルメンタル的アプローチ
5Song 3Slaughter to Prevailのアレックス・テリブルをフィーチャーした激重デスコア
6RATATATAElectric Callboyとの狂騒的なエレクトロ・コア・アンセム
7ギミチョコ!!タイのファンも熱狂する世界的代表曲
8from me to uPoppyをフィーチャーしたオルタナティヴなポップ・メタル
9Road of Resistance国境を越えて全員が一つになるクロージング

このバンコク公演のセットリストの特徴は、中盤の『Sunset Kiss』『Song 3』『RATATATA』そして終盤の『from me to u』など、多種多様な海外アーティストとのコラボレーション楽曲が中心に据えられている点です。

これは、BABYMETALが世界のメタルシーンにおいて、様々なサブジャンルを繋ぐ「ハブ(結節点)」として機能し始めていることを如実に示しています。

2025年:最新アルバム『METAL FORTH』が描き出す究極の狂宴

2025年8月8日、結成15周年のアニバーサリーイヤーを迎えたBABYMETALは、4作目のオリジナルアルバム『METAL FORTH』を全世界同時リリースしました。

同作は全米アルバムチャートで初登場9位を獲得し、メンバー全員が日本人のグループとしては史上初の快挙を成し遂げました。

そして、その歴史的な興奮冷めやらぬ同年8月中旬に開催された「SUMMER SONIC 2025(東京・大阪)」において、彼女たちは最新アルバムの全貌をライブという三次元の空間で極限まで具現化させました。

演奏順2025年 サマソニ(東京・大阪) 演奏曲目『METAL FORTH』の世界観の体現
1BABYMETAL DEATHいついかなる時もブレない絶対的な宣誓
2ヘドバンギャー!!序盤に配置されることで会場のボルテージを一気に沸点へ
3PA PA YA!! (feat. F.HERO)熱狂を持続させる常夏のフェス・アンセム
4METALI!! (神バンドソロ)ソロプレイで技術を見せつけ、全員を踊らせる
5Kon! Kon!Bloodywoodをゲストに迎えた、ボリウッドメタルと和の融合
6Song 3Slaughter to Prevailとの共作による、底なしのブルータリティ
7RATATATAElectric Callboyとの狂騒的レイヴ・メタルによる圧倒的なカオス
8ギミチョコ!!コラボ曲の連打の後に放たれる、不動のオリジナル・キラー
9from me to uPoppyとの共作。メランコリックかつヘヴィなサウンドスケープ
10Road of Resistance全てを浄化し、大団円へと導く究極のアンセム

この年の特筆すべき点は、セットリストの半数近くが最新アルバム『METAL FORTH』からのコラボレーション(フィーチャリング)楽曲で占められていることです。

中でも大きなハイライトとなり、日本の観客の度肝を抜いたのが、同年7月11日に先行配信リリースされた『Kon! Kon!』の披露です。

インドの「ボリウッドメタル」と称されるメタルコアバンド・Bloodywoodをゲストに迎えたこの楽曲は、狐の妖怪「妖狐」をテーマにしたリリックと、日本の伝統的な「和」のボーカルメロディ、そしてインドの民族楽器をベースにした独特のグルーヴが融合した野心作です。

両バンドのルーツである「和」と「印」の要素が絡み合い、ノスタルジックでありながらも狂暴なリズムを生み出し、サマソニの会場を異国情緒とモッシュピットの熱狂が入り混じるカオスな空間へと変貌させました。

また、アメリカのポップ・メタルアーティストPoppyとの『from me to u』や、激烈なビートダウンを伴う『Song 3』、そしてレイヴとメタルを融合させた究極のパーティチューン『RATATATA』の連続投下は、BABYMETALがもはや単独のグループとしてだけでなく、世界中の多種多様なヘヴィミュージックの才能を束ねる「キュレーター」のような役割を果たしていることを明確に証明しています。

一組のアーティストのライブを見ているはずが、世界中の最新鋭のメタルアクトのショーケースを見せられているような錯覚に陥るほどの圧倒的な情報量とエネルギーが、2025年のサマソニのステージには充満していました。

ライブ構築術の徹底分析:データが語るBABYMETALのセットリスト進化論

BABYMETALのサマソニにおける全期間(2012年から2025年)のセットリストを俯瞰的にデータとして分析すると、彼女たちがどのようにしてフェスという不特定多数の観客(初見のリスナーを含む)が集まるアウェーな環境をコントロールし、徐々にホームへと作り変えてきたのか、その計算し尽くされた戦略とライブ構築術が見えてきます。

オープニングトラックの変遷:儀式から祝祭へのシフト

年代オープニング楽曲演出意図と背景の分析
2012年ド・キ・ド・キ☆モーニング / Iine!まだコンセプトが手探りであり、アイドル性を逆手に取ったポップネスと異物感の提示が主眼
2013-2017年BABYMETAL DEATH1曲目から「これは本気のメタルである」という強烈な名刺代わりのデスコア。重低音と不穏なコーラスにより、観客を物理的・精神的に圧倒し、日常から引き剥がす儀式的アプローチ
2019年メギツネアベンジャーズを迎えた新体制の披露。威圧的なデスボイスや重低音よりも、祭囃子のリズムと和のテイストで会場全体を即座に踊らせる「祝祭空間」の創出へシフト
2023-2025年BABYMETAL DEATHMOMOMETAL加入による3人体制の完全復活を告げる原点回帰。かつての威圧感だけでなく、圧倒的な自信と様式美を備えた凱旋のファンファーレとしての役割

『BABYMETAL DEATH』による重厚でシアトリカルな開幕は、フェスという開放的でのどかな空間を一瞬にして「BABYMETALのダークな神話世界(キツネ様の領域)」へと引きずり込むためのトリガーとして極めて有効に機能してきました。

フェスにおいては「いかに最初の1分で通りすがりの観客の足を止めるか」が至上命題となりますが、この楽曲の持つ音圧と不気味なカリスマ性は、そのタスクを完璧にこなしました。

2019年に一度その封印を解き『メギツネ』でスタートしたことは、彼女たちが自らの呪縛から逃れ、より普遍的なエンターテインメントへと音楽性を拡張した証左と言えます。

そして2023年以降の『BABYMETAL DEATH』の帰還は、進化を経た上での自信に満ちた原点回帰であり、ファンへの強烈なカタルシスを提供しました。

クロージングトラックの変遷:カタルシスの最大化と観客の掌握

年代最終楽曲会場にもたらす効果と意図
2012-2014年イジメ、ダメ、ゼッタイイントロでのクロスチョップによるウォール・オブ・デスと、メロディックスピードメタルの疾走感による完全燃焼。ステージを縦横無尽に走り回る視覚的なクライマックス
2015-2017年イジメ、ダメ、ゼッタイ / Road of Resistance『Road of Resistance』の導入により、単なる激しさだけでなく、シンガロング(大合唱)を通じた観客との一体感が究極のレベルに到達。スタジアムロックとしての機能
2019年Road of Resistance会場全体でフラッグを掲げ、数万人が声を合わせるフェス最大のアンセムとして完全に固定化
2023-2025年イジメ、ダメ、ゼッタイ / Road of Resistance年や前後の楽曲のバランスによって使い分ける成熟の域へ。2025年は『Road of Resistance』で圧倒的な大団円を迎える

クロージングにおける最大の転換点は、間違いなく『Road of Resistance』の登場です。

この楽曲は、サマソニのマリンステージのような数万人規模の巨大空間でこそ真価を発揮する、アンセムとしての構造を持っています。

激しいモッシュやウォール・オブ・デスで観客のエネルギーとアドレナリンを限界まで引き出した後、ブレイクダウンで演奏を止め、最終的に美しいコーラスによって数万人の声を一つに束ねるという構成は、音楽フェスティバルにおいて最も求められる「カタルシスの共有」を完璧に提供しています。

コア楽曲(The Big 4)の不動の地位とアレンジの妙

時代が変わり、リリースされるアルバムのコンセプトが変わっても、サマソニのセットリストから決して外れることのない中核楽曲群が存在します。

それは『ギミチョコ!!』、『メギツネ』、『Road of Resistance』、そして『イジメ、ダメ、ゼッタイ』(または近年における『PA PA YA!!』)です。

これらの楽曲群は、フェスに訪れるライト層や新規リスナーを強烈に惹きつけるフックであると同時に、長年彼女たちを支えてきたコアファンに対する「変わらない芯」を示す約束の証でもあります。

特に『ギミチョコ!!』は2014年の大ブレイク以降、ほぼ全てのサマソニのステージで演奏されており、BABYMETALと世界のメタルファンを繋いだ象徴的なマスターピースとしての重みを持ち続けています。

この曲が鳴り響いた瞬間に、サマソニの会場の空気が一気に「BABYMETALのライブ」へと染まり切る現象は、毎年恒例の風物詩となっています。

「キュレーター」としてのBABYMETAL:2025年におけるコラボレーションのオーケストレーション

前述の通り、2025年のサマソニのセットリストは、『METAL FORTH』に収録された多数のコラボレーション楽曲によって構築されました。

Electric Callboyのトランシーなシンセサイザー音(『RATATATA』)、Slaughter to Prevailの地を這うようなデスコアの咆哮(『Song 3』)、Poppyの妖しくも美しいメロディ(『from me to u』)、Bloodywoodのボリウッドと和の融合(『Kon! Kon!』)。

これらは本来、全く異なる文脈とファン層を持つアーティストたちのサウンドです。

しかし、BABYMETALがそれらを一つのステージ上で連続的にパフォーマンスすることで、全てが「BABYMETALの音楽」として昇華されていきます。

これは、彼女たちが受動的なパフォーマーから、世界のヘヴィミュージックの最先端を日本のオーディエンスに紹介し、自らのフィルターを通して再構築する「キュレーター」へと進化したことを意味しています。

結論:SUMMER SONICが育んだ終わらない神話

なぜBABYMETALは、結成当初から今日に至るまで、ここまでサマソニという場を重要視し、歴史的な変遷をこのステージに刻み込んできたのでしょうか。

第一に、サマソニが純粋なメタルフェスでも、アイドルフェスでもない、洋邦問わず多様なジャンルが入り乱れるクロスオーバーな空間であるからです。

2012年のフードコートステージでの成功体験は、「自分たちの音楽はどのジャンルのファンにも刺さる」という強烈な自負を彼女たちに与えました。

サマソニは、BABYMETALが自らのジャンルレスな魅力を再確認し、実証するための最良の実験場であったと言えます。

第二に、世界最高峰のアーティストとの直接的な交差点であるからです。

Radiohead、Foo Fighters、Bring Me The Horizonといった世界的なバンドと同じ空気を吸い、時にバックステージで交流を図りながら、自分たちのパフォーマンスの現在地を測るためのバロメーターとして、サマソニのステージは機能してきました。

第三に、グローバルからローカルへの凱旋報告としての役割です。

一年の大部分を海外ツアーに費やす国際的なアーティストである彼女たちにとって、夏の日本で開催されるサマソニは、世界各国で磨き上げ、アップデートしてきた最新の「BABYMETAL」を、日本のオーディエンスへ直接叩きつける壮大なプレゼンテーションの場です。

2025年の『METAL FORTH』全開のステージは、まさにその極致でした。

2012年、幕張メッセの片隅にあるフードコートの脇で、誰にも期待されることなく始まった小さなショーは、13年の時を経て、バンコクでの海外展開、全米チャート一桁台の獲得、そして世界中のトップアーティストのDNAを取り込んだ究極のミクスチャー・エンターテインメントへと拡大を遂げました

データと歴史が示す通り、サマソニにおけるBABYMETALのセットリストは、単なる新曲のプロモーションではありません。

それは、時代ごとのメタルシーンの潮流を取り込み、アイドル文化のポップネスでコーティングし、圧倒的な身体的パフォーマンスで大観衆の意識を一つにするための、極めて精緻な「儀式の設計図」です。

オープニングの『BABYMETAL DEATH』から響き渡る地鳴りのような重低音、神バンドによる超絶技巧の演奏、SU-METALの天を衝くような澄み切ったボーカル、そしてMOAMETALとMOMOMETALによる妖艶かつ力強いダンスパフォーマンス。

これら全てが渾然一体となって生み出されるエネルギーは、年を追うごとにスケールを増し、今やサマソニというフェス自体を象徴する絶対的なハイライトの一つとなっています。

彼女たちの進化の歩みは止まることを知らず、SUMMER SONICという約束の地で、今後もさらなる未知の熱狂とカタルシスを生み出し続けていくことは想像に難くありません。

フードコートからメインステージ、そして世界の中心へ。

BABYMETALとサマソニが共に歩んだこの歴史的軌跡は、日本の音楽フェスティバル史、およびヘヴィミュージック史において永遠に語り継がれる金字塔として輝き続けるでしょう。

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-BABYMETAL