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ホロスターズのメンバーは人気ない?事業縮小の本当の理由と3つの真実

VTuber市場が世界的な拡大を続け、巨大なエンターテインメント産業として確固たる地位を築く中、2026年4月3日に国内トップクラスのVTuber事務所「ホロライブプロダクション」を運営するカバー株式会社から、ある重大な発表が行われました。それは、男性グループ「ホロスターズ(HOLOSTARS)」の運営体制変更、すなわち事実上の「事業縮小」の通達です。

検索エンジン等で「ホロスターズ」と入力すると、「メンバー」「人気ない」「事業縮小」「理由」といったキーワードが関連して表示されることが多く、多くのファンや業界関係者がその動向に大きな関心を寄せています。初心者の方から見れば、「なぜこれほど大成功している事務所の中で、ホロスターズだけが厳しい状況に置かれているのか?」と疑問に思うことでしょう。

本記事では、専門的な視点を取り入れつつ、最新のデータや公式発表、国内外のファンの反応、そして競合他社との比較を通じて、ホロスターズが直面している現状と、事業縮小に至った「本当の理由」、そしてその裏に隠された「3つの真実」について丁寧に解説します。記事を最後までお読みいただくことで、VTuber業界のビジネスモデルの構造や、今後のホロスターズの展望について深く理解できるはずです。

ホロスターズは本当に「人気ない」のか?現在の状況とデータ比較

ホロスターズの現状を把握するためには、まず「人気がない」と言及されてしまう背景にある客観的な数字と市場環境を理解する必要があります。同じ事務所に所属する女性グループ「ホロライブ」や、競合他社である「にじさんじ」の男性ライバーとの間には、明確なデータ上の乖離が存在しています。ここでは、具体的な視聴者数や登録者数のデータをもとに、その実態を紐解いていきます。

カバー株式会社の女性グループ「ホロライブ」との圧倒的な差

ホロスターズが「人気がない」と錯覚されやすい最大の理由は、同じカバー株式会社が運営する女性VTuberグループ「ホロライブ」が、エンターテインメント業界全体の歴史を見ても類を見ないほどの爆発的な人気を誇っているからです。

2026年4月時点の世界のVTuber登録者数ランキングを見ると、トップはホロライブEnglishの「Gawr Gura(がうる・ぐら)」であり、その登録者数は約464万人に達しています。次いでホロライブJPの「宝鐘マリン」が約433万人と、上位をホロライブのメンバーが独占しています。また、ライブ配信の同時接続視聴者数(CCV)においても、兎田ぺこらが主催したマリオテニス大会の配信で最大同時接続数18万4,000人を記録するなど、ひとつの配信でテレビの地上波番組に匹敵する影響力を持っています。その他の上位の配信も、星街すいせい、大空スバルといったメンバーの周年記念3Dライブが占有しており、数万人から数十万人の視聴者を集めることが日常化しています。

一方で、ホロスターズのメンバーは、2024年時点で15名が所属しており、長年の活動実績があるにもかかわらず、平常時の生配信の同時接続数は数百人から数千人規模に留まることが多く、ホロライブのトップ層とは数十倍の乖離があるのが実情です。以下に、両グループの規模感の違いを示すデータを整理します。

比較項目ホロライブ(女性グループトップ層)ホロスターズ(男性グループ)
最高登録者数(2026年4月)約464万人(Gawr Gura) 数十万人規模
大規模企画の同時接続数18万4,000人(兎田ぺこら) 数千人〜数万人規模
所属タレント数(2024年)50名以上 15名(JP)

このように、同じ事務所の看板を背負いながらも、数字の桁が違うほどの格差が生じてしまっていることが、「ホロスターズは人気がない」という評価につながってしまっている一つの要因です。

競合他社「にじさんじ」男性ライバーとの市場シェア比較

「男性VTuber市場そのものが小さく、需要がないのではないか」と考える方もいるかもしれませんが、それは誤りです。VTuber業界のもう一つの雄である「にじさんじ」においては、男性VTuberが市場全体を牽引するほどの絶大な人気を誇っています。

2026年4月時点の国内VTuberファン数(にじさんじ内)ランキングを見ると、第1位を獲得しているのは男性ライバーの「葛葉」です。さらに、第3位に「叶」、第5位に「ヴォックス・アクマ」、第6位に「剣持刀也」がランクインするなど、トップ10の過半数を男性が占める状況が続いています。また、海外のコミュニティサイトであるRedditの分析においても、スーパーチャット(投げ銭)の収益ランキングや視聴者数において、にじさんじの男性ライバーは非常に強力な数字を叩き出しており、ホロスターズのメンバーがその上位に食い込むことは極めて稀であると指摘されています。

ホロライブプロダクションと、にじさんじプロジェクトにおけるファン層の違いは、以下の表のように構造的な特徴を持っています。

項目ホロライブプロダクション(ホロスターズ含む)にじさんじプロジェクト
主なファン層の男女比男性 約9 : 女性 約1 男性 約4 : 女性 約6
グループの成り立ちとルーツアイドル志向の強い女性グループとして発展 男女混合の多様な配信者(ライバー)集団
男性タレントの立ち位置女性タレント層とは完全に分断された別グループ男女の垣根を越えてコラボを行う主力層
女性ファンの獲得難易度構造的に困難(事務所のマーケティングが男性向け) 容易(既にプラットフォーム内に多数の女性ファンが存在)

にじさんじは設立当初から男女の垣根なく多様なライバーをデビューさせており、プラットフォーム内に女性ファン(全体の約6割)が定着しやすい土壌がありました。一方で、ホロライブは男性ファン(全体の約9割)に向けたアイドル的なアプローチで大成功を収めてきたため、ホロスターズを応援する女性ファンを呼び込むための導線が圧倒的に不足していたのです。

欧米圏(EN)やグローバル市場における男性VTuberの動向

視点を日本国内からグローバル市場へ移すと、男性VTuberの可能性はまた違った広がりを見せています。2025年から2026年にかけてのグローバルな配信プラットフォームの動向を分析すると、欧米圏の視聴者の間では新たなプレイスタイルを持つ男性VTuberが急速に台頭しています。

その筆頭が、アメリカを拠点とする男性VTuber「TheBurntPeanut」です。彼は2025年において、Twitch、Kick、YouTubeといった複数のプラットフォームでの同時配信(マルチストリーミング)を駆使し、瞬く間に膨大な視聴者を獲得しました。特筆すべきは、彼が「Escape from Tarkov」や「Arc Raiders」といったハードコアなシューティングゲーム(FPS)の実況を通じて、従来の「アニメやアイドル文化を好むファン層」とは異なる「純粋なゲーマー層」を熱狂させたことです。この活躍により、彼は名誉ある「The Streamer Awards 2025」において「Best VTuber」を受賞し、2026年末までに世界のトップシェアを塗り替える可能性があるとまで評価されています。

ホロスターズにおいても、英語圏向けグループである「HOLOSTARS English -TEMPUS-」が2022年にデビューし、2023年には主要な配信で平均10万ドル(約1,500万円)ものスーパーチャットを記録するなど、局地的な大成功を収めた時期もありました。しかし、英語圏のVTuber市場は非常に競争が激化しており、にじさんじENが40名以上の英語圏タレントを抱える中で 、新規参入の個人勢やVshojoのような柔軟な運営体制を持つグループとのパイの奪い合いが続いています。欧米市場では、日本のアイドル文化をそのまま輸出するだけでなく、ストリーマー文化と融合した新しいアプローチが求められていると言えるでしょう。

カバー株式会社が「事業縮小」を決断した3つの本当の理由

これまでのデータを通じて、ホロスターズが直面している市場の難しさがお分かりいただけたかと思います。しかし、単に「他と比べて数字が少ないから」という理由だけで、長年苦楽を共にしてきたタレントへのサポートを打ち切ることは通常考えられません。2026年4月というタイミングでカバー株式会社が事業縮小という重い決断を下した背景には、徹底した資本主義的なリソース配分と、企業としての構造的な理由が存在しています。

理由1:過去最高の業績とリソースの「選択と集中」

驚くべきことに、カバー株式会社自体の業績は、ホロスターズの事業縮小が発表される直前まで「過去最高」の絶好調を維持していました。2024年度第2四半期(Q2)のIR資料によれば、カバー株式会社は単体で売上高106億8,800万円(前年同期比+49.8%)、営業利益25億3,700万円(前年同期比+80.2%)という記録的な成長を叩き出しています 。純利益も15億円(前年同期比+44.9%)に達しており、資金繰りに困ってのリストラというわけではありません。

以下の表は、カバー株式会社の事業別売上概況を示したものです。

サービス別売上(2024年Q2)売上高(百万円)前年同期比主な成長要因
マーチャンダイジング(グッズ販売等)5,879+79.8%「hololive OFFICIAL CARD GAME」等の新規施策の大ヒット
配信 / コンテンツ2,184+21.4%新規タレント(ReGLOSS等)の収益貢献
ライセンス / タイアップ1,480+90.1%営業組織の刷新、海外案件(ドジャースコラボ等)の拡大
ライブ / イベント1,144-11.0%Q2期間のコンサート件数の一時的な減少(通年計画は順調)

この莫大な収益を生み出しているのは、言うまでもなく女性グループの「ホロライブ」と、新規タレントの活躍です。カバー株式会社は2024年7月から「COVER USA」の営業を開始し、ロサンゼルス・ドジャースとのコラボやニューヨークでのライブ開催など、グローバル展開に莫大な資金と人的リソースを投資しています。また、ReGLOSSの3D配信ライブでは最大同時接続数20万を記録し、Unreal Engineを利用した新しい3Dプロジェクトも開始するなど、最先端の技術開発にも余念がありません。

VTuberの3Dライブ配信やオリジナル楽曲の制作には、自社の巨大な3Dモーションキャプチャースタジオと、数百人規模の専門スタッフの稼働が不可欠です。限られたスタジオの利用枠とスタッフの工数(リソース)をどこに割り当てるかと考えた時、企業としてより確実で巨大な利益を生む女性グループや新規グローバルプロジェクトに「選択と集中」を行うのは、経営判断として極めて合理的です。ホロライブのIPライセンス事業だけで10億円(1 billion yen)の収益が追加される市場規模において 、相対的に利益率の低いホロスターズの会社主導プロジェクトにリソースを割き続けることが、経営陣にとって正当化できなくなったというのが最大の理由です。

理由2:ファン層(デモグラフィック)の構造的なミスマッチ

前述の通り、ホロライブのファン層の約9割は男性であり、にじさんじのファン層の約6割が女性であるというデモグラフィック(人口統計学的属性)の違いは、ホロスターズにとって致命的な足かせとなっていました。

通常、VTuber事務所が新しいタレントをデビューさせる際、最も強力な武器となるのは「先輩タレントからのリスナーの流入」です。ファンは同じ事務所のタレントを応援する「箱推し」という文化を持っており、これによって新人でも初配信から数万人の視聴者を獲得することができます。しかし、ホロライブを応援している圧倒的多数の男性ファンは、純粋なアイドルとしての女性VTuberを求めているため、男性グループであるホロスターズの配信にはほとんど流れてきません。

所属タレントのアステル・レダも、自身の配信内でこの構造的な問題について率直に語っています。ホロライブには多数のメンバーが存在し、グループ内だけで魅力的なコラボレーションが完結する豪華な環境が整っていますが、ホロスターズにはその余裕がありません。ホロライブENが初期の卒業騒動などでアクティブなファンを失い生き残りに必死だった時期もあり、結果としてJP(日本)とEN(英語圏)のタレント間での連携も十分には行われず、ファン層の拡大機会を逃してしまったと分析されています。事務所の構造そのものが、ホロスターズの成長を後押しできない形になっていたのです。

理由3:男性向けマーケティングと女性向け市場の乖離

カバー株式会社は、これまで男性ファンに向けたマーケティング(いわゆる「ガチ恋営業」や、それに付随するグッズ展開、ブランドコラボレーション)において、世界最高峰のノウハウを蓄積してきました。しかし、女性ファンをターゲットとした「女性向け(Joseimuke)」市場に対するアプローチは、全くの別物です。

女性ファンを獲得するためには、単にイケメンのキャラクターを用意するだけでは不十分であり、タレント同士の関係性(てぇてぇ)の魅せ方や、ストーリー性を持たせたグッズ展開、女性層が好むプラットフォームでのプロモーションなど、専門的なノウハウが必要です。アステル・レダによれば、カバー株式会社は女性向け市場へのマーケティングノウハウを持っておらず、その代替案として、FPSなどのeスポーツを通じた男性ゲーマー層へのアプローチを推し進めてきたと指摘しています。

実際に、2023年には「VSPO!(ぶいすぽっ!)」などのeスポーツ特化型VTuberが大会賞金等で200万ドルを稼ぎ出すなど、男性ゲーマー層をターゲットにした戦略自体は市場に存在します。しかし、eスポーツ層(男性)に向けた施策に特化すればするほど、本来獲得すべきであった女性ファンとの乖離が広がり、「どちらの層に向けて活動しているのかわからない」という方向性の迷走を生んでしまいました。一方のファン層に焦点を当てれば、もう一方のファン層を疎外してしまうというジレンマに陥ったことも、事業が伸び悩んだ大きな要因です。

事業縮小の発表内容とファンの間で巻き起こった炎上の真相

このような背景から、カバー株式会社は2026年4月に「ホロスターズの運営体制変更」を正式に発表しました。しかし、この発表は単なる方針転換として受け入れられることはなく、国内外のコミュニティで大炎上を引き起こす結果となりました。読者の皆様が一番知りたい「なぜ炎上したのか」という真相について、深く掘り下げていきます。

会社主導の活動終了と個人活動への完全移行

2026年4月3日の公式発表「『ホロスターズ』における運営体制の変更に関するお知らせ」の骨子は以下の通りです。

  • 現在のホロスターズの活動状況に合わせ、運営体制を変更することが不可避であるという結論に至った。
  • これまでタレント個人の活動と並行して進められてきた、会社主導のグループ活動に一区切りをつける。
  • 今年度以降は、タレント「個人」の活動を主軸とする方針へシフトする。
  • 社内リソースの再配置に伴い、タレントへのサポートの一部を制限、または完全に終了する。

この発表が意味するところは、これまで事務所が負担していた高品質な3Dライブの制作費、オリジナル楽曲の提供、大規模なプロモーションやスタジオへのアクセス権が、今後はタレント個人の実費や裁量に委ねられるということです。表向きは「個人の活動へのシフト」というマイルドな表現が使われていますが、実態としては「コストのかかる支援の打ち切り」であり、事業縮小以外の何物でもありません。

「窓際族への左遷(Quiet Firing)」と批判される収益分配の謎

この発表が深刻な炎上を招いた最大の原因は、「会社からのサポートが打ち切られるにもかかわらず、会社がタレントの収益から徴収する手数料(カット率)は従来のままである」という不条理さにあります。

VTuberの主な収入源であるYouTubeのスーパーチャットやメンバーシップは、まずプラットフォームであるYouTubeが約30%の手数料を徴収します。残りの70%を、事務所とタレントが契約に基づいた割合で分配します。海外の掲示板(Reddit)の有志による分析や関係者の証言等から、一般的にタレントの手元に残るのは全体の30%〜35%程度であり、事務所は全体の約35%前後(タレントへの分配後で計算すると約50%にあたる額)を徴収していると見られています。

  • これまでの体制: 事務所は多額の手数料を受け取る代わりに、数千万円単位の3Dライブ制作、楽曲提供、マネジメントを全面的にサポートする。
  • 新体制: 事務所はこれまで通り多額の手数料を徴収し続けるが、3Dスタジオの利用や楽曲制作の費用負担は行わず、すべてタレントの実費負担とする。

タレントからすれば、「高いマネジメント料を払い続けているのに、見返りとしてのサービスが一方的に打ち切られた」状態です。海外のコミュニティでは、この冷酷な措置に対して「Quiet Firing(自主退職に追い込むための静かなる解雇、日本でいう窓際族への左遷)」であるという批判が殺到しました。Redditのユーザーからは、「自分から解雇するのではなく、仕事を与えずに隅に追いやり、自ら辞めるのを待っているだけだ」「音楽制作費すら払わないのに、なぜ今までと同じ割合の収益を会社が持っていくのか」といった辛辣なコメントが相次ぎました。

海外ファン(Reddit)からの厳しい声と企業のブランドイメージ

カバー株式会社はこれまで、「タレントに寄り添い、最先端の技術で彼らの夢を叶える寛大な企業」というクリーンなブランドイメージを慎重に築き上げてきました。しかし、今回のホロスターズに対する扱いは、そのイメージを根底から覆すものでした。

海外のVTuber業界アナリストは、「ホロライブはこれまで寛大さというイメージを作り上げてきたのに、ここ2年間でそれを自ら壊し続けている。なぜこんな悪手(PRの大失態)を打つのか理解できない」と強く非難しています。さらに、ホロスターズENの「TEMPUS」や「ARMIS」のメンバーの中には、日本での活動の幅を広げるために最近になって日本へ移住(引っ越し)したばかりのタレントも3〜4名存在しており、彼らの梯子を外すようなタイミングでの発表に、ファンは大きなショックと怒りを覚えています。

同僚であるホロライブのメンバー、ラプラス・ダークネスもこの騒動に反応し、ホロスターズの縮小と彼らの反骨精神を知って「彼らの味方になる」と発言するクリップ動画が海外で6万回以上再生されるなど、事務所の垣根を越えた波紋が広がっています。

ピンチはチャンス?事業縮小発表後に起きたホロスターズの奇跡

絶望的とも思える「事業縮小」の発表ですが、エンターテインメントの世界では、時に最も暗いニュースが最大のドラマを生み出すことがあります。ホロスターズの場合、この危機的状況が皮肉にもタレントの反骨精神に火をつけ、これまでにない爆発的な視聴者数の増加をもたらしました。

メンバーの視聴者数(CCV)が最大50倍に爆発した理由

「会社からの支援が打ち切られ、今後は自分たち自身の力で生き残らなければならない」。この残酷な事実が公表された直後、世界中のファンや、これまでホロスターズを見ていなかった層が「今こそ彼らを応援しなければならない」「彼らがどう立ち向かうのか見届けたい」と一斉に配信に押し寄せました。

発表直後の1週間のデータを見ると、ホロスターズのメンバー全員が、VTuberの週間チャンネル登録者数増加ランキングの上位を独占するという異常事態が発生しました。さらに、個々の配信の同時接続視聴者(CCV)が、平常時の10倍から最大50倍に跳ね上がったのです。

以下は、事業縮小発表直後に行われた主要メンバーの配信企画と、その驚異的な視聴者数の伸びをまとめた表です。

メンバー名配信内容・企画平常時の平均視聴者数発表直後の視聴者数増加率
影山シエン裸でおしりバトルゲーム配信数百人規模約 7,500 人 約 50倍
夜十神封魔 / 羽継烏有会社経営シミュレーションゲーム数百人規模約 5,000 人 約 40倍
アステル・レダ手紙を書く配信(真面目な語り)約 300人約 3,000 人 約 10倍
花咲みやびフェティッシュについて語る配信約 150人約 1,500 人 約 10倍
律可(りっか)「ダウンサイジング(事業縮小)」をテーマにした作曲約 150人約 1,500 人 約 10倍

個性を活かした「予定調和ではない」配信の面白さ

これらの数字が示しているのは、単なる同情票だけではありません。タレント自身が、現在の絶望的な状況を「極上のエンターテインメント」として昇華させるという、プロフェッショナルな意地を見せた結果です。

例えば、律可は会社から告げられた「事業縮小(ダウンサイジング)」という残酷な言葉をあえてネタにし、リアルタイムで視聴者と一緒に楽曲を制作するという配信を行いました。夜十神封魔と羽継烏有は、自分たちが会社から支援を打ち切られた直後に「会社経営シミュレーションゲーム」をプレイするという、高度な皮肉を込めた企画で5,000人を集めました。影山シエンに至っては、すべてを吹っ切ったかのように「裸でおしりをぶつけ合うバカゲー」に全力で取り組み、平常時の50倍となる7,500人の視聴者を爆笑の渦に巻き込みました。

また、アステル・レダは「手紙を書く」という名目で、ファンに対して現状の体制や自分たちの置かれた厳しい立場、そして会社への複雑な想いを包み隠さず本音で語り尽くしました。

昨今のコンテンツ市場において、ウェブ小説投稿サイト「小説家になろう」の分析でも指摘されているように、瞬時に読者の興味を引くことばかりが重視された結果、展開が「テンプレ化(ワンパターン化)」し、作品の個性や深みが失われてしまう現象が起きています。VTuber業界も例外ではなく、会社によって完璧に用意された安全な企画や、予定調和なアイドル路線に視聴者が飽き始めている側面があります。

そんな中、ホロスターズのメンバーが見せた「会社という強力な後ろ盾を失った人間の、泥臭くも力強い反撃」は、テンプレ化されたコンテンツとは対極にある「予定調和ではない生々しいドキュメンタリー」でした。これが視聴者の心を強烈に打ち、潜在的なファンを呼び起こす起爆剤となったのです。

今後のホロスターズに求められる外部コラボレーション戦略

この一時的なブームを長期的な人気へと定着させるためには、今後の戦略が極めて重要になります。男性VTuberが成長するためのセオリーとして、業界の専門家は「男性VTuberはコラボレーションを早期に、そして頻繁に行うことで輝く」と指摘しています。

女性VTuberの場合、頻繁なコラボレーションはファンコミュニティの熱量を分散させてしまうリスクがあるため、コラボレーションは遅く、稀に行う方が良い傾向があります。しかし、男性VTuberは、確立されたキャラクターを持つ他の配信者(男女問わず)と絡み、ツッコミを入れたりイジられたりする「関係性の面白さ(ケミストリー)」を提供することで、自身の魅力を何倍にも引き出すことができます。にじさんじの急成長の背景にも、この柔軟なコラボレーション文化がありました。

これまでのホロスターズは、大手事務所の看板を背負っているがゆえの制約や、ホロライブという巨大な内部コミュニティへの遠慮があり、外部への露出が制限されがちでした。しかし、会社主導の枠組みから外れ、個人活動が主軸となった今、彼らはかつてないほどの自由を手に入れています。個人勢のVTuberや、Vshojo、Phase Connectといった新興勢力 、あるいはTwitchで活躍する国内外のストリーマーたちと積極的にコラボレーションを展開し、新たな視聴者層を開拓していくことが、生き残りの絶対条件となるでしょう。

まとめ:ホロスターズの今後はどうなる?私たちにできること

ここまで、ホロスターズが「人気がない」と言われる理由から、カバー株式会社による「事業縮小」の背景、そして現在起きている劇的な変化について詳細に解説してきました。最後にもう一度、この記事で明らかになった「3つの真実」をまとめます。

  1. 人気がないわけではなく、市場の構造的なミスマッチに苦しんでいた:ホロライブの強大すぎる「男性ファン向けコミュニティ」の恩恵を受けられず、女性ファン主体の市場において、ゼロからの開拓を強いられていたという過酷な現実がありました。
  2. 事業縮小の本当の理由は、企業の利益最大化とリソース配分の論理:カバー株式会社全体は過去最高の利益を出しているものの、より効率的で莫大な利益を生むプロジェクト(女性グループや海外事業)へ3Dスタジオなどのリソースを集中させるための、資本主義的な経営判断が下されました。
  3. 逆境がタレントの真価を引き出し、新たな魅力を爆発させた:サポートの打ち切りと不条理な収益配分という過酷な状況が、皮肉にもタレントたちの反骨精神に火をつけ、予定調和を壊す圧倒的なエンターテインメントとして平常時の何十倍もの視聴者を集める大逆転劇を生み出しています。

「会社主導の活動終了」という言葉は、見方を変えれば「しがらみからの完全な解放」を意味します。莫大な制作費をかけた豪華な3Dライブや、きらびやかなオリジナル楽曲といった「会社からのプレゼント」は、もう与えられないかもしれません。しかし、VTuberの面白さの本質は、高価な3Dモデルやスタジオ設備にあるわけではありません。画面の向こう側にいる「一人の人間」が、どのような言葉を紡ぎ、どのように視聴者の感情を揺さぶるかという「個人の魅力」にすべてがかかっています。

2026年4月以降、ホロスターズのメンバーたちは真の意味で「個人の実力」が試される新たなフェーズへと突入しました。収益分配の不均衡など、企業に対する理不尽な課題や不満はファンの中にくすぶっていますが、その怒りや熱量は今、間違いなく彼らを最前線で応援する巨大なエネルギーへと変換されています。

VTuber業界の歴史を振り返っても、これほどまでにドラマチックで、泥臭い転換点は多くありません。彼らがこの逆境を跳ね返し、個人としての魅力を世界に知らしめて新たな黄金期を築き上げるのか。その答えは、彼ら自身の今後の挑戦と、それを支える私たち視聴者の応援にかかっています。ホロスターズが見せる「台本のないリアルな物語」から、今後も目が離せません。

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